写真,思い出

今も昔も仲良し家族で

私は姉と二人姉妹です。今でこそ結婚して家を出ましたが、実家にいたころは、母と三人で、毎日かしましく話をしていました。そんな時どこか寂しそうだったのが、男ひとりの父。「自分は三人を支える役だ」と思っていたのか分かりませんが、幼いころの家族写真を見ても、大概、母、姉、私の三人を父が撮影している。当然、父は写真に写っていないのです。私は幼いころの記憶が割と鮮明に残っている方なのですが、普段無口な父が、カメラを構えながら私たちに向かって、嬉しそうに「いちたすいちはー?」と大きな声を出していたのは殊更覚えています

 

家族写真を撮る

そんな中、姉が幼稚園の年長さん、私が年少さんくらいの年の家族写真で一枚だけ、「四人」で撮影された写真があります。大きくなった今でもその時のことは覚えているのですが、実家から車で少し行ったところにある、海岸のすぐそばにある公園で、海に面していることを知らなかった私と姉は大喜びで海岸(砂浜などではなく、おもむろに草場が終わって海、でした)をうろつき、母に「危ないから」と怒られました。

 

草場にはシロツメクサが生えていて、母に花冠を教えてもらったばかりの私と姉は、さっそくそこに陣取って冠を作り始めました。こんなところに来てまで、と両親は笑っていました。
四人で写っている写真は、その草場、シロツメクサの上に座る私たち姉妹と、その後ろに立つ両親、と言う構図です。
一体誰が撮影したのか、それは覚えていないのです。ただ、人見知りが激しかった姉の顔が少し強張っていること、誰にでも懐きたがる私が興味深々の顔をしているところからすると、多分通りすがりの人なのでしょう。母は写真となるとするいつもの「すまし顔」です。

 

父の笑顔

四人の中で、父だけが、物凄い「いい笑顔」で写っています。直接見たことすらあまり覚えていないくらいの、にっこにこの笑顔です。
その写真を見つけたのは私が就職したころでした。お父さんに借りた本に挟まっていた写真を見せながら「お父さんいい顔してるねー」と言うと、写真を見た父は照れたように笑って、「お父さんだって一緒に写りたかったんだ」と、どこか威張りながら言いました。「他にはあんまりないから、この写真は宝物なんだ」と、目尻を下げながら言っていました。

 

「お父さん」と言う役割はなかなかに難しいようです。私のお腹にいる子が女の子だったら、夫も同じような気持ちを味わうのでしょうか。